鏡の中の自分を見てみる

こんにちは、ANDゼミナール(アンドゼミナール)です。ANDゼミナール(アンドゼミナール)は日本橋人形町にある塾です。

 

今日のお題は:「鏡の中の自分を見る」

 

きっかけはLinus Torvalds*さんがLKML(Linux Kernel Mailing List)で自分の態度を謝罪し”look myself in the mirror”と言っていたことです。(Linusさんが予定の会合に出る出ないでちょっとゴタゴタがあったのですが、冷静に考えたら自分は間違っていたね、みんなに謝罪しなくちゃいけない、っていう内容のものでした。)

 

もともと“look yourself in the mirror”という表現はこんな感じで使われています。

 

“Your hair is awful. Look yourself in the mirror.”(髪の毛ぐしゃぐしゃ、鏡を見てみろよ、といような意味。)
きっとLinusさんは、鏡を見て自分の態度を改める、というような気持だったんでしょうね。細かなことはLinuxのKernel担当者たちの問題になりますので、ここでは触れませんが。

 

実はこの表現、次のうちのどれが一番正しいか、ということでよく議論の的になるんです。
①Look at yourself in the mirror.
②Look yourself in the mirror.
③Look you in the mirror.

 

これをnative speakersはどう判断しているのでしょう。
A:「ふつう、私は②を使っています」
B:「いやいや、③だっていいじゃないか」
C:「文法的に正しいのは①だよ」
いろんな意見がネット上に散らばっています。

 

日本の英語教育、あるいは英会話の塾、企業などでもnative speakersの言うことはある程度「絶対的」な権威を持たせていますね。
「この表現は先日native checkしてもらったらおかしいと言われた」などという具合。

 

Native speakersでも上の例のように①~③の間で揺れが存在します。

 

どうして?
ふつうは②を使うという人は間違ってるの?
そうなるとだれを頼りにしたらよいのかわからなくなってしまいますね。

 

 

ちょっと別の例を。

 

Let’s go togather, (      ) (      )?
Let’sで始まる文を付加疑問文になおすとき、空欄に補うのは何?

 

大学入試とか教科書、一般的にはshall weが正解になります。それではアメリカで暮らすnative speakersは全員shall weと言うのでしょうか。なかなか良い調査結果が見当たらないのですが、古くは大修館書店から発行されていた「英語学大系」にスピーチレベルの問題として調査が掲載されていました。(たぶん今もこういう調査は行われているし、発表もされているはずです。)

 

それによれば大方の人はshall weなんですが、そうじゃない人たちもかなりの割合でいます(論文を書く時に「かなりの割合」と書くと指導教官に突っ込まれますけど。)

 

このような揺れが生じるのはその人の学歴・成育歴、職業、生まれ育った環境、年齢、性別などなど複雑な要素が絡み合うからです。

 

ですから正式にnative checkを行うときには、決して一人のinformant(資料提供者・リファレンスとする人)に頼ることなく、複数、それもこのような要素を加味した人を選ばなければなりません。

 

一人のnative speakerに聞いたから絶対に正しい・間違っている、などと言うことは非常に危険だということ。

 

日本語で「ら抜きことば」を例にとるとわかりやすいですね。

 

「食べれる」は正しい?

 

若い人たちの中にはこれを許容する、あるいは自分でもこう使っているという人は多いのではないでしょうか。

 

一方、ある程度の年齢の人、ある程度日本語に詳しい人は「それはら抜き言葉でおかしいよ、使う人は多いけど正しくは食べられるだよ」と言うでしょう。

 

日本語を母国語とする人に「食べれる」は正しいと言われたんだから、絶対に正しい、とは言えないですよね。同時に、今ぐらい「ら抜き言葉」が普通になってしまうと、一概に「それは誤り」とは言い切れなくなっています。(どこかのコンビニのコマーシャルで「しゃべれる食べれるコンビニエンス」なんてフレーズがありますよね。)

 

さて、冒頭のlook yourself in the mirrorの件ですが、正しくは次のように説明できます。
・lookはそもそも自動詞だから、後ろに目的語を置くためには前置詞atが必要となる。
・atの後ろにyouとかmeとかを置くことは可能だが、
・主語とこの目的語が同一人物を指す場合、再帰代名詞の形-self形を使うことになる。
・もしも-self形を使わないと、主語とこの目的語が別の人間を指すという意味になってしまう。

 

これは教科書的にこうなっているだけではなく、英語表現のreferenceとして使われるwordreference.comでも同じように取り上げられています。ここのサイトのSenior MemberであるSalvageさんが同様の解答をされています。

 

となると、①~③のうちの①が正解、ということになりますね。では、②を普段使っている人は間違っている?

 

前にも書いたことがありますが、ことばは多数の人が使う用法が正しいものに変わっていく性質があります。②を使っている人がしだいに増えて、過半数を超える(あ、この表現は本来アウトですね)ようになると、それが正しい表現になっていきます。(好ましい変化と好ましくない変化がありますが、こればかりはどうしようもないことです。)

 

自分の使い方が絶対的に正しい、自分の感性が絶対である、なんて思いこんでいるとこういう変化についていけなくなってしまいますね。あらためて”look at myself in the mirror”する必要がありそうです。

 

*Linus Torvaldsさんは有名なLinux(リナックス)の開発者。ITのエンジニア、プログラマとしてだけではなく、プロジェクトマネージャとしても思想家としても著名です。

 


 

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